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新刊紹介
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翳りゆく楽園―外来種VS.在来種の攻防をたどる
アラン・バーディック 著
伊藤和子 訳
A5判,446頁,¥2400+税(雄山閣,2009年9月24日刊)

 本書の執筆者は研究者ではなくサイエンスライターである.サブタイトルにあるように,外来種(侵入種)による自然環境への影響を扱った本であるが,現場で実際に調査を行っている研究者の活動と執筆者の感慨を中心に描いている.

 内容は大きく「陸」と「海」に分けられている.「陸」ではグアムで鳥類を激減させたミナミオオガシラヘビのハワイへの侵入や鳥マラリアその他外来種の影響の研究状況を,「海」では,船舶のバラスト水による侵入種の影響を中心に,アメリカの生態学者による生態系保全の活動と社会的な状況を浮き彫りにしている。

 合衆国の外来種による生態系への影響とその対策費用は,日本の状況よりはるかに深刻のようである。在来種の植物17000種に対して,外来植物が5000種も記録されている.駆除費用も桁外れに多く,ヒアリに5億ドル/年(テキサス州),ゼブラガイに50億ドル/年(五大湖),マイマイガ,地中海ミバエなど79種の外来種に約10億ドル/年を拠出している.これだけ社会的に大きな問題になっていることもあり,本種に出てくる生態学者はパワフルに活動している.

 外来種の侵入による自然の画一化あるいはマクドナルド化する生態系は,生物多様性が貧弱になり問題である.ところが,外来種を研究していると,従来,在来種と考えていた種類が実は過去に侵入した外来種であった可能性もあり,「手つかずの自然:人の手が入らず生物多様性に富んだ豊かな環境」という概念自体が幻想であることに行き着いてしまう。

 外来種ならびに生態系保全についていろいろ考えさせられる本である。
(中野敬一)
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