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新刊紹介
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「ゴキブリだもん 〜美しきゴキブリの世界〜」
鈴木知之 著
(株)幻冬舎コミックス 2005年3月31日 1600円(税別) 143pp
 今までのゴキブリの本は、専門家による害虫あるいは実験動物としてのゴキブリを中心にまとめられているものが多い。ゴキブリの分類については、分類学的記載を集大成した格調高い「日本産ゴキブリ類」という書籍が有名であるが、素人には難解である。本書はそれら従来のゴキブリ本と決定的に異なり、全編、非常に美しく撮影されたゴキブリの写真集である。著者ならびに専門家の写真により6科60属107種のゴキブリが紹介されている。この中には日本のゴキブリ(野外種)、外国産のゴキブリ、害虫としてのゴキブリ、ペットとしてのゴキブリが含まれている。ゴキブリとは何か?という章では、ゴキブリの分類、生態さらに著者による食用の体験まで触れられており内容が充実している。個人的にはゴキブリを食べることや外国産ゴキブリをペットとして飼育することは望ましいとは思えないが、知見としては面白い。

 本書を見て、以前、マレーシアの熱帯林で観察した美しいゴキブリがキスジワモンゴキブリという種類であることを知ることができた。熱帯林に生息する種類の美しさやカメムシやベニホタルなど他の昆虫への擬態種には目を見張るものがある。また、熱帯ではゴキブリはシロアリと共に熱帯林形成に重要な役割を果たしているといわれている。家屋内で問題になる種類はゴキブリ全体のほんのわずかであるが、そのゴキブリに対する嫌悪感は少し過剰に思える。しかし、このようにゴキブリを解釈するのは、私がゴキブリについて特異な興味を持っているからかもしれない。本書はその内容からすれば、原色ゴキブリ図鑑としても遜色ないように思える。しかし、虫好きの人にとっても、いきなり表紙から巨大なクロゴキブリの群れの写真(しかも少し浮き出ている)の本を手に取る気になるかどうか疑問である。あえて、「ゴキブリだもん」という少しふざけた書名にしたのは、一種のサブカルチャー本として虫関係者以外のユーザーもターゲットにしたいという出版社のマーケティング上の戦略があるのではないかと考えてしまう。

 本書は、害虫としてのゴキブリだけでなくペットを含めた外国産ゴキブリの写真が豊富に載っている。そのため、仕事上、たとえば、貿易会社などから輸入物とともに見たこともないゴキブリがついていたとの相談を受けた際に参考になるのではないかと思われる。ゴキブリが嫌いでない家屋害虫研究者、PCO関係者にはお薦めする。
(中野敬一)
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